豊富温泉 15日目
良く寝て。良く食べた。久しぶりに手首が痒い。変わらず湯治は2回で、温泉には10分しか入ってられないぼく。
痒いと食べる気持ちにならないし、食べる為に起き上がるのも辛かった日々。最近は毎日食べることが楽しみになった。今日のお昼は白菜とサバ缶のチーズ焼き、夜は鶏のつくね鍋とホッキ貝のバター焼き。どれもぼく好みの味でお腹いっぱい食べた。
ママは玉ねぎ餃子が得意料理、それと冷蔵庫にあるものでパパッと作る料理が美味しい。パパは野菜スープとハンバーグが得意で、お店よりも美味しい。久しぶりにパパの料理が食べたくなってきたな。帰った日はハンバーグ作ってもらおう。
ぼくの96歳のひいばあちゃんがいつも言っている言葉を思い出した。食べることは生きること。そんなの当たり前のことじゃん、食べなきゃ死ぬよって思ってたけど、この言葉の意味が今日分かった。ただ食べてるだけなら、ただ生きてるだけ。食べることを楽しめたら、人生も楽しんで生きれる。食べる気力があれば、人生に気力が出で来る。そうゆうことなんじゃないかと思う。ひいばあちゃんに会いたくなった。
今日はちょっとした事件があった。夜の湯治からの帰り道、ママと雪ではしゃぐぼく。雪の塊を潰したり、誰も歩いていない雪道に足跡つけながら帰っていた。テンションが上がったぼくは足跡のない真っ白な道を往復でダッシュしてみた。気持ち良かった。ママはぼくの走る姿を見て笑って動画を撮っていた。
その後息が切れてちょっとハーハー言って一休みしている時に気づいた。ぼくのスマホがなくなっていた。手提げや全てのポケット見たけどない。やってしまった、雪の中にスマホを落としてしまった。
来た道を何度も往復したり、足で雪をかきながらママと必死に探した。1時間半後、何度も探した場所で雪に埋もれているスマホ発見!うわーと声が出るくらい嬉しかった。もしかしたら、雪が溶ける春まで見つからないかもしれないとも考えた。良かった、ホントにママありがと。
豊富温泉 14日目
夜はよく眠れた。眠れることがありがたい。頭と顔と首の痒みがあるけど、豊富に来る前に比べたらすごく良くなっている。
豊富に来て2週間、今日から折り返し後半戦が始まる。ここでの生活に慣れてきた。体調もいいし、初日のような絶望感もなくなった。人との関わたくない気持ちはあるけど、拒絶するくらい嫌ではない。
折り返しという事で初日と13日目の肌の写真を載せようと思う。苦手な人はスルーしてください。
1日目の首
13日目の首
1日目の腕
13日目の腕
1日目の足
13日目の足
豊富温泉に来る前は、毎日どんどん広がっていっていたのに。こんな短期間でここまで良くなるなんて。本当にすごいとしか言えない。豊富温泉に出会えて、豊富温泉に来れて感謝。自然に感謝。家族に感謝。
豊富温泉 13日目
いつもと変わらずの一日。顔はちょっとガサガサしてる。頭と顔と指は相変わらず痒い。傷や赤みは毎日消えていく。
昨日の湯治中、辛そうにしてる人達に出会った。しみるのを我慢して温泉に入って本当に、本当に、辛そうにしている人。そしてのぼせやすい人なのか短時間で上がって、体を冷ましてまた入ったりしながら何度も何度も温泉に入る人。体全部に傷や赤みがあった。
ぼくは自分で重症だと思ってたし、病院でも重症と言われていた。だけどこんなにも辛そうにしてる人を見てぼくよりもっと重症の人がいることを知った。こんなに辛い思いをさせるアトピーってなんなんだろう。苦しい気持ちになった。
今日は稚内へ映画を観に行ってきた。お目当は昨日公開のドラゴンボール。内容を話したいけど、ネタバレしてしまうので我慢。最高だった。
ノシャップ岬から見る利尻富士も最高だった。途中で出会った初めて見る鹿も最高だった。とにかく最高の1日だった。
豊富温泉 9日目
夜はぐっすり眠れた。首と顔はいい調子で肘の裏と膝の裏がいまいち。温泉上がると全体的に痒くなるのも変わらず。ママも温泉入った日は痒いらしい。
午前中ママはバイトへ出かけた。ぼくはお昼に温泉へ。お昼はやっぱり空いていていい。誰にも会わずに温泉に入れた。
帰ると豊富の牛乳でママがシチューを作っていた。ママもぼくも大好きなシチュー。シチューの素は使わないシチュー。材料はシンプルに牛乳と調味料と野菜だけのシチュー。美味しい。
そして外は久しぶりの青空。午後は宮の台展望台へ行って利尻富士を見に行こうと外へ出た。雪かきしてる湯快宿の管理人さんと話しているママ、どうやら宮の台展望台は冬は閉鎖されるらしい。予定変更で稚咲内漁港まで行く事にした。ママの運転はあいかわらず不安たっぷりのノロノロ運転で怖い。ぼくはスマホなんでいじってる場合ではなかった。2人で運転に集中する。
利尻富士は少し雲がかかっていて残念だったけどママはそれでも癒されるらしく、寒い中外へ出て写真を撮っていた。凍るような海からの冷たい風が肌にささるようだった。
帰って来てから夕方に2回目の温泉へ。この調子で1日2回の湯治を続けたい。
豊富温泉 8日目
前日夕方から寝てしまい、夕飯も食べずに朝まで寝ていた。痒みは変わらず。肌はだいぶ赤みがなくなっている。
学校へ行けなくなってからネット塾をやり始めた。塾の先生が解説している動画を見ながらテキストを進めていく。だけど、痒いのと痛みでまだ数回しかやっていない。お金払ってるんだから、やらないとダメだよな。と思うと余計に痒くなってやる気がなくなった。
ここ数日、前より体は楽になって勉強しようと思えば出来る状態だったけど。ずっとモンストするかユーチューブ見るか寝てるか。そんな日が続いていた。勉強しないの?と、ちょっとママがしつこい。そして何気ない会話から、ママの爆発へ向かった。
「3学期は学校に行けるといいね」というママ。ぼくは「眉毛生えるまで学校へは行かない」と返した。ぼくの眉毛は顔のアトピーがひどくなった7月から抜けて、今はほんの少し生えてるだけ。人相の悪い顔のまま学校には行けない。ママのスイッチが入る。「体は元気になっても学校に行かないつもり?」「眉毛生えるのが1年後だったらそれまで学校に行かないの?」「修学旅行はどうするの?」「3学期からどうしても学校行かせたくて今北海道に来てるんだよ」「眉毛なくても、あっても中身は変わらないでしょ」と。
まあ分かる。ママの言いたいことは分かる。けど、ぼくだってイヤなもんはイヤ。眉毛のない人相の悪い妖怪みたいな顔して友達には会えない。言いたいことはたくさんあるけど、言葉に出来ずに2人で沈黙の時間。
そしてママが「分かった。眉毛生えるまで学校行かないって言うなら、体は元気になったら勉強はみんなと同じように6時間頑張って。その勉強の間はスマホは禁止ね。」と。今日のところはそれで落ちついた。
眉毛が生えてきてくれたら何の問題もない。ぼくの眉毛、頼むぞ。
豊富温泉 7日目
頭痛がやっと治った。食欲もなかったので体の負担を減らすため無理に食べず、夜は日が沈む頃には寝た。休むことの大切さを感じる。
昨日湯治をしなかったせいか、良くなっていた顔のガサガサがちょっと戻ってしまった。痒みは変わらずある。
今日は12時に温泉へ行った。みんなお昼ご飯食べてるから温泉に入ってる人が少ないと思いきや…日曜日なだけあってたくさんいた。いつも通り10分の湯治でさっさと上がるぼく。
そして今日は買い物へ町に。雪道を走るママの運転はすげー怖かった。自信のないノロノロ運転だった。そして買い物したかったお店は休み。そうか、日曜日は休みなんだ。やっているお店もあったけど。小さい町の日曜日はみんな休み。なんか幸せな気持ちになった。
ぼくの住んでいるところは、日曜日でも昼でも夜でも関係なく買い物が出来て遊べる。便利だ、便利すぎる。お店がやっていなければ、やっていないなりの生活が出来るはずだ。みんな無理して働いてるんじゃないかと、今日気づいた。日曜日は日本全国みんな休みにしちゃえばいいのに。
豊富温泉 5日目
昨日から頭痛がとれず、今日も昼まで寝てしまった。豊富温泉に来てまだ生活のリズムが全然掴めていない。
首と顔、頭皮の痒みがある。落屑は少し減って来ている。毎日傷は良くなっていっている。
今日の湯治は20時から行ってみた。誰もいなくてぼく1人。人の目を気にすることがなく入れた。ずっと滲みそうで洗えない状態だった頭も思い切って温泉のお湯をかけることが出来た。滲みなかった。また少し前進出来た気がする。
もう少し体力があれば、湯治を2回にしたい。ママは体力つけるために町の体育館に行って運動しようと言うけど、人の目が気になる。話しかけられるのも嫌だ。ぼくの妖怪みたいな顔は見られたくない。
今日は午後から雪が降っていた。北海道の雪はサラサラしている。降っている様子を見ていると雪の結晶が見えるんじゃないかというくらいサラサラしてキラキラしていた。ずっとみていても飽きない。綺麗な雪だ。
豊富温泉 4日目
頭皮がジクジクしている、痒みもある。首と顔の痒みが変わらずあるが、夜はだいぶ眠れた。皮膚の赤みがとれてきて傷も良くなっている。まだ4日目だけど、確実に良くなっているのが実感できる。
ただ今日も1回の湯治しか出来なかった。時間も10分程度しか入ってないけど、かなり体力を使っている気がする。変化が見えてくると頑張りたくなるけど、でも無理はしない。
今日の午後はママと車で町まで行って、ランチと買い物をした。肌が良くなってるのでラーメンを食べて、おやつにパンを買った。
ずっと避けていた小麦粉、たまに食べる時は国内産の小麦粉にしていたけど。今日は気にせず食べてみた。
部屋へ戻っておやつのパンを食べてしばらくすると、ママはカラダが重いと言って少し寝ていた。ぼくも重くなって、頭が痛くなってきた。2人で考えて、やっぱり小麦粉には注意しないといけないという結果になった。ズドンとカラダが重くなるってことは、それだけカラダに負担になっているのかもしれない。食べていなかったからこそ、この反応を感じることが出来たんだと思う。またしばらくラーメンとパンはおあずけだ。
豊富温泉 1日目
長い移動が終わり豊富温泉に着いた。
とりあえず何もない。思った以上に何もない。
温泉付近では買い物は出来ない。
買い物は車で10分くらい離れた街まで行く。
温泉に入るのみって感じになりそう。
人と関わることが大嫌いなぼく。
ぼくのこと誰も見ていないと思うけど、でも人の視線が気になる。
温泉で誰かに話かけられたらどうしようと考える。
不安になってイライラして、そして痒みに襲われる。
温泉の空いている時間を狙って入ることにした。
多いのか少ないのか分からないけど4人のおじさん達がいた。
1人のおじさんに話しかけられた。
「うわ来た。嫌だ。」
そんな思いで話していたけど。
いいおじさんだった。
うん、でも話かけられるのはやっぱり苦痛だ。
今日は15分入った。温泉から上がると皮膚の傷の部分がチクチクと痛んだ。
でも初めはみんなそうなるらしい。